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健康経営コラム

メンタルヘルス不調者への対応#25


2015年にスタートしたストレスチェックを含め、従業員のメンタルヘルス不調の早期発見と早期対応は今の時代欠かせないものとなりました。

悩みやストレスがある人の割合は、男性より女性の方がやや高く、男女ともに30代から50代が高い傾向にあります。


<健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)適合基準>
大項目:制度・施策実行
中項目:従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策
小項目:メンタルヘルス対策

本項目は、メンタルヘルス不調予備軍に対する相談窓口を設置し、その周知を図っていることまたは不調者が出た場合の支援体制の整備等の対策を定めていることをもって適合とする。

【適合例】
・組織として、メンタルヘルス不調者に向けた対応策をあらかじめ策定し、対象者がいる場合には実行している。
 「対象者には定期的な医療関係者(第三者)面談を実施」
 「対象者の職場復帰時は医師の意見をもとに、状況に合わせた支援を実施」
 「対象者の職場復帰にあたっては、短時間勤務、業務制度等の配置をすることとする」等
・相談窓口の設置
 「外部の相談窓口と契約し、当該窓口の利用を促している」

目次

メンタルヘルス不調者の現状

東京都労働相談情報センターにおける労働相談の状況をみると、メンタルヘルス相談件数は平成18年度から19年度にかけて3,000件から6,000件に倍増し、その後は6,000件で推移したままで改善されていません。

労働問題となるケースには、大きく分けて2つの種類があります。1つは会社が従業員の自主的な退職を迫るあまり、それが「いじめ」につながり、精神的に追い詰められて発症する場合、もう1つは、職場の人員削減や成果主義の浸透が一段と進む過程で、特定の従業員に多くの仕事量、責任および肉体的・精神的負荷が積み重ねられ、その重圧に耐えかねて心身の不調を訴える場合です。

ストレスチェック制度

ストレスチェック制度は、労働安全衛生法の一部改正を受け、2015年12月1日に施行されました。

本制度の目的は、
・一次予防(労働者のメンタルヘルス不調の未然防止)
・労働者自身のストレスへの気づきを促す
・ストレスの原因となる職場環境の改善につながる

とされ、常時使用する労働者が50人以上の事業場での実施が求められています。なお、労働者50人未満の事業場については努力義務です。

ストレスチェックの結果は、検査を実施した医師、保健師等から直接本人に通知され、本人の同意なく事業者に提供することは禁止されています。また、一定の要件に該当する労働者から申し出があった場合、医師による面接指導を実施することが、事業者の義務となっています。

ストレスチェックと面接指導実施に係る流れは、厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」をご参照ください。またストレスチェックの受験、ストレスチェックの結果出力、集団分析等ができるプログラムは「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」からダウンロードできます。

個人でストレスチェックを体験したい場合は、「5分でできる職場のストレスセルフチェック」にて、4つのステップによる簡単な質問から、職場におけるストレスレベルを測定することができます。質問は全部で57問あります。

メンタルヘルス不調者に対する取り組み

2015年に施行されたストレスチェック制度を機に、これまでメンタルヘルス対策に積極的でなかった企業でもメンタルヘルス対策が検討されるようになりました。メンタルヘルス対策はほかの産業保健活動と同様に、職場環境の改善や労働者のストレスマネジメントの向上を中心とする一次予防、メンタルヘルス不調者の早期発見と対応を中心とする二次予防、メンタルヘルス不調者の職場復帰や再発予防を中心とする三次予防に分類することができます。

厚生労働省は「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を策定し、その中で「4つのケア」が継続的かつ計画的に行われることを求めています。

<4つのケア>
①セルフケア:労働者自身がストレスやメンタルヘルスに対して理解し、自らのストレスに気づき、予防や対処を行う
②ラインケア:管理監督者が職場環境の開園、労働者からの相談対応、職場復帰における支援などを行う
③事業場内産業保健スタッフ等によるケア:産業医などのスタッフが、労働者及び管理監督者を支援するとともに、事業場の園たるヘルス対策を立案・推進する
④事業場外資源によるケア:事業場外の専門家のサービスを利用したり、職場復帰などにおいて支援を受ける

メンタルヘルスケアを推進するにあたっての留意事項としては、
・心の健康問題の特性
・労働者の個人情報の保護への配慮
・人事労務管理との関係
・家庭・個人生活等の職場以外の問題
が挙げられており、事業者が労働者の意見を聴きつつ、事業場の実態に即した取り組みを行うことが求められています。

「心の健康づくり計画」の策定や個人情報保護に関する規定の策定等に当たっては、衛生委員会等において十分に検討することが重要になります。

メンタル不調者の早期発見と対応

ストレスチェック制度の施行を機に、これまでメンタルヘルス対策に積極的でなかった企業でも、メンタルヘルス不調者に対する取り組みが検討されるようになりました。メンタルヘルス不調は突然起こるのではなく、何らかの兆候がありますので、不調のサインを知っておけば、早期発見と対応に役立ちます。

<メンタルヘルス不調の兆候の例>
・遅刻、早退、欠勤が増える
・顔色がよくない
・口数が減る(又は増える)
・些細なことで腹を立てる
・身だしなみが悪くなる
・仕事能率の低下、ミスが目立つ
・人づきあいが悪くなる

職場の管理監督者が部下の変化に気づいた場合は、話を丁寧に聴くように努めます。本音を引き出すには、プライバシーを配慮した環境で、聴き役に徹することが大切です。話を聴いた結果、専門家への相談が必要だと感じたら、事業場内の産業保健スタッフへの相談を促します。状況によっては、外部の専門委への紹介や、業務調整の検討を要する可能性もあります。

産業医の選任義務のない事業場の場合は、都道府県に設置されている産業保健総合支援センターの地域窓口(地域産業保健センター)に相談することができます。地域産業保健センターの利用には一定の制約があり、事前登録も必要になりますので、あらかじめ登録しておいたほうが、いざというときに速やかに対応できます。小規模事業場と定期的にかかわっている社会保険労務士が、労働者の勤怠悪化に気づいたことが、メンタルヘルス不調の早期発見と対応につながったケースもありますので、様々な関係者がメンタルヘルスについての感度を高めておくことが望まれます。

メンタルヘルス不調で休業した労働者の職場復帰

厚生労働省の「改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」には、「心の健康問題で休業している労働者が円滑に職場復帰するためには、職場復帰プログラムの策定や関連規定の整備等により、休業から復職までの流れをあらかじめ明確にしておくことが必要」とあります。

この手引きでは、職場復帰支援の流れを5つのステップに分けて解説しています。

<職場復帰支援の流れ>
第1ステップ:病気休業開始及び休業中のケア
第2ステップ:主治医による職場復帰可能の判断
第3ステップ:職場復帰の可否の判断および職場復帰支援プランの作成
第4ステップ:最終的な職場復帰の決定
  ↓
(職場復帰)
  ↓
第5ステップ:職場復帰後のフォローアップ


○第1ステップのポイント
労働者から管理監督者や人事労務担当者に病気休業の診断書が提出され、休業が始まります。休業する労働者に対して、必要な事務手続きや職場復帰支援の手順を説明しますが、特に傷病手当金制度や社内の相談窓口、最長の休業期間などは、安心して療養に専念するために重要な情報です。

○第2ステップのポイント
病状がある程度回復して、職場復帰の意欲を持った休業中の労働者から事業場の担当者に対して、主治医による職場復帰可能の診断書が提出されます。一般的に主治医は、日常生活における病状の回復程度を中心に職場復帰可否を判断することが多いので、本人の了解のもと、産業医などから主治医に復帰時に必要とされる条件の情報を提供しておくと判断の参考となり、混乱を回避することに役立ちます。

【職場復帰可否の判断基準例】
・労働者が十分な意欲を示している
・通勤時間帯に一人で安全に通勤ができる
・決まった勤務日、時間に就労が継続して可能である
・業務に必要な作業(読書及びコンピューター作業、軽度の運動等)ができる
・作業による疲労が翌日までに十分回復する
・適切な睡眠覚醒リズムが整っている、昼間の眠気がない
・業務遂行に必要な注意力、集中力が回復している など

○第3ステップのポイント
必要な情報の収集と評価を行った上で、職場復帰の可否を判断し、職場復帰支援プランを作成します。

【職場復帰支援プラン作成の際に検討すべき内容】
・職場復帰日
・管理監督者による就業上の配慮
・人事労務管理上の対応等
・産業医等による医学的見地からみた意見
・フォローアップ
・その他(試し出勤制度、事業場外資源が提供するサービス等の利用の検討など)

このプラン作成に当たっては、事業場内産業保健スタッフを中心に、管理監督者、休業中の労働者、人事労務担当者などで連携しながら進めます。

○第4ステップのポイント
前ステップの検討を踏まえて、労働者の状態の最終確認、産業医による「職場復帰に関する意見書」の作成などを経て、事業者による最終的な職場復帰の決定を行います。この際、復帰当初の業務内容や就業措置のみならず、復帰後6か月程度の業務内容についての計画を立てておくと、管理監督者や労働者本人の目安となり、安定した職場復帰プランの実践につながると考えられます。

○第5ステップのポイント
管理監督者による観察と支援の他、事業場内産業保健スタッフ等によるフォローアップを実施し、適宜、職場復帰支援プランの評価や見直しを行います。なお、不調をきたした原因が過重労働や不適切な職場環境であれば、それらの見直しが順調な職場復帰のポイントとなりますが、本人の持つ特性(物事を過度に悲観的にとらえるなど)が強く影響している場合は、休業中に認知行動療法やストレスマネジメントなどの社会心理学的なトレーニングを行うことが安定した復職に寄与するケースがあります。


メンタルヘルス対策の改善のための評価指標として、一次予防では「セルフケアなどの研修参加率」「職場環境改善実施数」「職場環境改善前後でのストレス指標」など、二次予防では「相談窓口の利用数」「産業保健スタッフの面談実施数」など、三次予防では「復帰から半年後の就業継続率」など、さらに対策全般において「対策の満足度」が考えられます。

またストレスチェックでは、「受検数」「面接指導数」「職場環境改善実施数」などが評価指標となります。他の施策と同様にこれらの指標を用いて、PDCAサイクルを回して、よりよいメンタルヘルス対策につなげることが期待されます。

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