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健康経営コラム

長時間労働者への対応#24


働き方改革が2019年4月にスタートした当初から「時間外労働の上限規制」が始まったように、長時間労働は問題視されており、健康経営においても長時間労働による過労死やメンタルヘルス不調など従業員の健康・生死にかかわることから取り組みの1つとなっています。

<健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)適合基準>
大項目:制度・施策実行
中項目:従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策
小項目:過重労働対策

本項目は、従業員の労働環境を踏まえ、長時間労働者(超過勤務80時間を超える者)が発生した場合(管理職を含む)の、過重労働防止に向けた具体的な対応策を事前に定めていることをもって適合とする。

【適合例】
・超過勤務時間が月80時間を越える労働者に対して、本人の申し出の有無にかかわらず産業医面接指導を受けさせる
・退勤から出勤まで最低9時間の勤務時間のインターバルを取る

目次

1.長時間労働の現状と働き方改革関連法

「平成30年版過労死等防止対策白書」によれば、月末1週間の就業時間が60時間以上である者の割合は、2003年(平成15年)、2004年(平成16年)の12.2%をピークに2009年(平成21年)まで減少を続けた後、2010年(平成22年)に一時は増加しました。それ以降はは緩やかな減少を続けていたものの、2017年(平成29年)は前年比同率の7.7%となっています。

また、月末1週間の就業時間が60時間以上の就業者の割合について、性別・年齢層別の推移をみると、全年代の男性のうち、30歳代、40歳代で週60時間以上就業している者の割合が高く、直近では、30歳代男性の割合の減少に比べて、40歳代男性の割合の減少幅が小さく、2015年以降、30歳代男性より40歳代男性の方が週60時間以上就業している者の割合が高くなり、2017年は40歳代男性で15.4%、30歳代男性で15.0%となっています。

労働政策研究・研修機構の調査によると、週当たりの実労働時間が長い人ほど健康不安が高く、健康不安が高い人ほど能力発揮に対する自己評価が低下する傾向にあり、また、長時間労働とt脳・心臓疾患の発症は、関連性が高いという医学的知見があります。

また、日常的に長時間労働を行った場合や仕事の負荷が重いと、ストレスにより精神疾患の発症のおそれもあります。これらのことから、起業にとって重要な資源である従業員の健康を保持増進するため、長時間労働の削減が急がれます。

そこで、2018年7月6日に「働き方改革関連法」が公布されました。この改正の中で、企業に大きな影響を与えるものの1つに労働基準法改正における「時間外労働の罰則付き上限規制」があります。

2.労働時間の適正把握と企業のリスクマネジメント

労働基準法に労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握し管理する責務を有しています。

労働時間が適正に管理されていないということは、実労働時間に対応した適正な賃金が支払われていないことを意味し、未払い残業代をめぐるトラブルが生じる危険性が高まることになります。

また、最近では、働き方改革関連法の施行により、「労働時間管理の厳格化」が求められていることを改めて認識することが必要です。

実際、実務において労働基準法における「労働時間」を明確に理解していない使用者も少なくありませんので、ここからは労働基準法上の「労働時間」とは何か、「労働時間の適正な把握」のために使用者が何をすべきかを具体的に解説していきます。

労働時間とは

労働基準法第32条のいう労働時間は、「使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たること」とされています。

たとえば、本来の業務の準備作業や後片付けの場合等、事業場内で行うことが使用者によって義務付けられている場合や現実に不可欠である場合には、原則として使用者が指揮命令下に置かれたものとされ、労働基準法上の労働時間に該当します。

また、労働者が具体的な作業に従事していなくても、ビル管理業務の仮眠時間などは、労働から完全に離れることが保証されていない限り、業務が発生した場合に備えて待機している状況になるので、使用者の指揮命令下に置かれたものとされ労働時間に該当します。

加えて、参加することが業務上義務付けられている研修や教育訓練の受講、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間も労働時間に該当します。

労働時間の適正な把握義務

2017年1月20日、厚生労働省から「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が公表されています。

その時にガイドラインが変更された理由として、近年、過労死等が多発し、大きな社会問題になっているという背景があります。

なお、このガイドラインでは、労働時間の把握は「責務」とう扱いですが、働き方改革関連法の施行により、労働時間の把握は「義務」となっています。

労働時間の把握義務の強化

2019年4月以降、働き方改革関連法では健康管理の視点が拡充されており、使用者が労働時間を適正に把握することで、長時間労働者に対する医師の面接指導を確実に実施することを目的としています。

働き方改革関連法の施行以前は、労働基準法第41条の適用除外対象者(管理監督者等)、みなし労働時間、裁量労働制が適用されている労働者は通達の対象外でしたが、今後は、管理監督者や裁量労働制の適用者も含め、すべての労働者の労働時間の状況が、客観的な方法その他適切な方法で把握されるように法律で義務付けられました。

リスクマネジメントの視点

時間外労働の削減は、従業員の健康管理の視点から、大変重要であることは当然ですが、企業のリスクマネジメントの視点からも看過できません。

2017年5月10日に、厚生労働省は、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」として、法令違反した企業322社を公表しました。

そのうち違法な長時間労働のケースが全体の約18%を占めています。

先述した労働時間の適正な把握がなされていないと企業名を公表されることにより信頼が失墜し、企業の存続に多大な影響を与えることにもなりかねません。

3.長時間労働者等への面接指導制度の活用

労働安全形成法に定められている面接指導は、長時間労働やストレスを背景とする労働者の脳・心臓疾患やメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的としています。

意思が面接指導において対象労働者に指導を行うだけではなく、事業者が就業上の措置を適切に講じることができるよう、事業者に対して医学的な見地から意見を述べることが想定されています。

1.面接指導の対象者

働き方改革関連法では、特に長時間労働やメンタルヘルス不調などによる健康リスクが高い状況にある労働者を見逃さないため、医師による面接指導が確実に実施されるよう労働者の健康管理を強化するものになっており、対象者および面接指導の流れについても、次の通りに改正されています。

<対象労働者>
・労働者の申し出により面接指導を行う対象者
 →休憩時間を除き、1週間当たり40時間を超えた場合のその超えた時間が1か月80時間を超え、かつ疲労が蓄積した労働者からの申し出があった場合

・特定高度専門業務・成果型労働制の対象者
 →健康管理時間が休憩時間を除き、1週間当たり40時間を超えた場合のその超えた時間が1か月100時間を超えた場合

・新たな技術、商品または役務の研究開発に係る業務に従事する労働者
 →休憩時間を除き、1週間当たり40時間を超えた場合のその超えた時間が1か月100時間を超えた場合

2.改正による長時間労働者に対する面接指導等の流れ

厚生労働省によれば、医師による面接指導とは「長時間の労働により疲労が蓄積し健康障害発症のリスクが高まった労働者について、その健康状況を把握し、これに応じて本人意対する指導を行うとともに、その結果を踏まえた事後措置を講じること」であり、その具体的な実施に係る流れは次のとおりです。

*事業者が管理監督者や裁量労働制の適用者を含めたすべての労働者の労働時間の状況を把握
 ↓
*事業者が産業医に時間外・休日労働時間が月80時間超の労働者の情報を提供
 ↓
*産業医が情報をもとに労働者に面接指導の申し出を勧奨することができる
*事業者は時間外・休日労働時間が月80時間超の労働者本人に労働時間も情報通知
 ↓
*時間外・休日労働時間が月80時間超の労働者が事業者に面接指導の申し出
 ↓
*事業者が産業医等による面接指導を実施
 ↓
*事業者が産業医等から労働者の措置等に関する意見を聴く
 ↓
*事業者が産業医等の意見を踏まえて必要な措置を講じる
 ↓
*事業者が産業医に措置内容を情報提供
 ↓
*勧告を行う場合は、産業医が事業者からあらかじめ意見を求める
 ↓
*産業医が労働者の健康を確保するために必要があると認める場合は事業者に勧告
 ↓
*事業者が産業医の勧告の内容等を衛生委員会等に報告

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