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健康経営コラム

感染症予防対策#23


感染症は個人の健康や仕事の生産性を脅かすだけでなく、多数の人へ感染し影響が拡大する場合があります。

感染症が発生する前の平時の段階から感染症についての教育・啓発、予防接種や手指衛生といった感染予防行動の促進、感染症発生時の休業ルールやパンデミック時の事業継続計画の策定などに取り組んでおくことが特に重要です。


<健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)適合基準>
大項目:制度・施策実行
中項目:従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策
小項目:感染症予防対策

本項目は、従業員の感染症予防に向けて予防接種に要する時間の出勤認定、感染者の出勤停止等、感染症予防や感染拡大防止に向けた取り組みや制度を実施していることをもって適合とする。

【適合例】
・予防接種時間の出勤認定
・予防接種実施場所の提供
・風疹やインフルエンザ等の予防接種の費用負担
・健康診断時の麻疹・風疹などの感染症抗体検査の実施
・感染者の出勤停止や特別休暇認定制度の整備
・すべての事業場におけるアルコール消毒液の設置やマスクの配布

目次

職場の感染症予防対策の目的

職場における感染症対策の目的は次の4つです。

①従業員を感染症による健康問題から守る
②ウイルス性肝炎やHIV感染症などの慢性の感染症に罹患している従業員の病状悪化を防ぐ
③感染症の社内流行によって組織の生産性や企業の経営全体に悪影響が出るのを防ぐ
④感染症に罹患した従業員の仕事を通じた顧客など社外への感染拡大を防ぐ

①と②は事業者による労働者に対する当然の責務であり、③は自社の利益を守ることであり、かつ事業内容によっては社会の非常事態においても必要な事業を継続できることで社会貢献となることを意味します。

④は会社組織や労働者個人が社会の一員としての社会的責任を果たすことにつながります。新型コロナウイルス感染拡大防止策として出されている緊急事態宣言等の国や自治体から出されている時短・休業要請に従うことが、まさに社会的責任を果たす形になります。

職場における感染症対策

1.季節的な感染症、流行性の感染症の対策

インフルエンザの流行時期に社内に感染者が続出して一部の職場で業務遂行に支障をきたした、あるいは感染した従業員が無理して出社したことで、さらに社内での感染が拡大してしまうといった経験はないでしょうか。

人から人に感染する力が強い感染症は、職場という人が集まる場で感染が拡大してしまうことによって、多くの従業員の健康を危険にさらしてしまうとともに、職場の生産性低下を招きます。

こうした感染力が強い感染症には新型コロナウイルス(COVID-19)のようなパンデミック(世界的な大流行)やインフルエンザ以外にも、麻疹や風疹、百日せきなどがあります。

感染を防ぐには、感染の流行のない平時から備えておくことが大切です。

<備えておくべきもの・こと>
①感染症予防のための従業員の知識や行動(教育)
②感染症予防のための用具・設備(マスクや消毒剤など)
③感染症予防のための従業員の免疫(予防接種)
④感染症流行時に従業員とビジネスを守るためのルール・制度

<職場における主な感染予防行動>
共通事項-手指衛生(手洗い)の励行、消毒液の使用、予防接種
飛沫感染-サージカルマスクの配布と着用、せきエチケットの励行
空気感染-N95マスクの着用
積極感染-サージカルマスク・ガウン・手袋の着用
経口感染-手指衛生、食品・調理器具の衛生的取扱い、加熱調理


2.慢性的な感染症対策

結核やHIV、ウイルス性肝炎は大規模な感染流行は起こりにくいものの、感染すると重篤な健康問題をもたらす場合があります。そのため感染した従業員だけでなく、情報・知識不足や不適切な情報によって周囲の従業員に不安や混乱が生じる場合があり、時にそれが差別を生むこともあります。こうした不安や混乱、差別は当該従業員にとっても、その周囲にとっても、そして組織のチームワークや生産性の観点においても回避すべきものであり、普段から社内での啓発・教育に取り組むことで、混乱や差別などが生じないように努めましょう。また、こうした感染症も治療の進歩によって死亡率が改善し、治療しながら長く働くこともできる病気になっています。

結核は感染力の強さは麻疹ほど強くありませんが、麻疹と同じく感染経路は空気感染であり、同じ部屋などで長時間接触した人は感染する可能性があります。感染拡大を防ぎ、必要に応じて対象者の早期治療ができるように保健所は接触者検診と健康監視を行います。こうした保健所の取り組みや主治医による感染した従業員の治療が適切に行われるように連携協力することが大切です。

B型肝炎やC型肝炎については、厚生労働省から2011年に「職域におけるウイルス性肝炎対策に関する協力要請」という通達が発せられ、感染の早期発見のために職場の健康診断時に肝炎ウイルス検査を実施することなどが推奨されています。

3.予防接種の推進

一部の感染症では、予防接種によって免疫を獲得することで感染・発症する確率や重症化する確率を抑えることができます。また、ある集団の中の多くの人が予防接種を受けて免疫を獲得すると、その集団の中で感染が拡大しにくくなる効果(集団免疫)が期待できます。これは接種を受けた人の健康を守るだけでなく、集団・組織の健康を守るという意義や効果があります。そのため従業員個人、そして会社組織、さらには地域社会を守るためにも予防接種は有効な手段であり、健康への投資として積極的に取り組むことをおすすめします。

<社内での予防接種推進の取り組み例>
①健康診断の際に任意で麻疹・風疹など対象となる感染症に対する抗体検査追加
②医療機関に会社に来てもらい集団予防接種の機会を開催
③予防接種の費用を会社や健康保険組合で補助

4.海外赴任・出張者の感染症対策

海外赴任・出張先の国や地域では、従業員が日本国内とは異なる健康リスクにさらされます。特に海外における感染症には、日本国内では感染する可能性が低く、そのため日本人が免疫を持つことが少ない菌やウイルス、寄生虫が多数存在します。それらの中には狂犬病のように発症した場合にはほぼ死亡してしまうような重篤な感染症もあります。また、結核や麻疹、デング熱などの感染症に海外で感染し、帰国後には日本国内で感染が拡大してしまうといったことも起きています。

そのため海外赴任・出張者には現地の医療情報や感染症情報と予防行動について教育し、渡航前に十分な期間を設けて必要な予防接種を受けさせることが重要です。現地の医療情報や感染症情報は「外務省」「厚生労働省検疫所」「WHO」「米国疾病予防管理センター」が運営するウェブサイトなどから入手することを推奨します。

会社に産業医や保健師など産業保健スタッフがいる場合は、産業保健スタッフと人事担当者が情報を連携して、事前の教育や予防接種を計画的に受けられるように対応しましょう。

5.外国人労働者の感染症対策

厚生労働省が行う外国人雇用状況の届出状況調査では、外国人労働者数は90万人以上にのぼっています。国内の労働人口減少への対応策の一つとして、今後も外国人労働者は増加していくことが見込まれます。外国人労働者の出身国・地域によっては当該外国人労働者が結核やHIV、麻疹などに感染している確率が日本国内の水準よりも高い場合があります。また、出身国の医療事情や予防接種施策によっては当該外国人労働者が各種感染症に対する予防接種を受けていない場合もあります。他国の移民や難民に対する感染症スクリーニングガイドラインなどを参考にして感染症対策を行いましょう。

6.新型インフルエンザ等のパンデミックへの備え

これまでも人類史上では、新型インフルエンザやSARS、MERSなどの進行の感染症が大流行し、現在(2021年)の新型コロナウイルスにおいても世界規模で多数の犠牲者が発生しています。こうしたパンデミックが発生した際には国や地域全体で感染拡大の防止(新しい生活様式含む)と治療などに取り組む必要があります。

企業活動については「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」などを参考にしてBCP(事業継続計画)を作成するなど、平時から備えておきましょう。そして、パンデミックが発生した場合は、その都度でウイルスの感染力や感染経路、病原性(致死率)などウイルス側の要因も、医療・公衆衛生の水準、治療薬の有無など人間側・社会側の要因も異なるため、冷静に必要な情報を収集しつつ、計画や想定を基本としながらも柔軟な対応をすることが大切です。

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