報連相から雑相へ(アイスブレイク)
新型コロナ渦で在宅勤務が増えた今、「雑談してからオンラインミーティングをしましょう」といった感じで、あらためて『雑談』が仕事を円滑に進める上での大切なコミュニケーションと認識されるようになりました。
コーチングではセッション(対話)を始める際にアイスブレイクを行います。目的は1)クライアントの緊張した心を溶かして話をしやすくするためと、2)近況を聴きながらクライアントの様子を察知するためです。このアイスブレイクはコーチングセッションだけでなく、オンラインで話をするときはもちろん、職場での日ごろのコミュニケーションに使えます。
目次
アイスブレイクのポイント
私が『ビジネス会話術』をテーマとしたセミナーの講師を務めたときに、
受講者からこんな質問がありました。
「雑談をしなくても仕事には全然問題ないです。
本当に雑談する必要はあるんでしょうか?」
私はこう答えました。
「報告・連絡・相談は時系列に並べ替えると、
相談(未来のこと)→連絡(現時点のこと)→報告(過去のこと)であり、
何かを始めるときはまず相談です。
相談ができているかどうかでその後の仕事の進め方も結果も大きく変わります。
相談しやすくするためには何が必要か?と考えると、やっぱり雑談できる関係性です。
たわいもない話の中で相手の考え方や興味・関心がわかったり、
ついでに仕事の話が出てきたり。そんなとき、そういえば○○の件ですが…と
相談なり情報収集ができると、仕事がしやすくなります」
質問してくれた受講者は「そうかあ、確かにそうですね」と
雑談の意義が腹に落ちたようです。
相談という言葉のイメージが、困った時にするものと捉えがちですが、
困らないように予め意見を聞くのも相談です。
テレワークが当たり前になると、一人ひとりの主体性がより求められ、
また組織の構造がフラットになってきます。
そうなると、上司が答えを考えるために必要だった部下からの報連相ではなく、
今後は『雑相(ザッソウ)』が組織のコミュニケーションの常識になってきそうです。
1)部下が話しやすくなるために
たわいもない話ができる上司とそうでない上司とでは
どちらか報告や相談がしやすいですか?
答えは前者です。
連絡はともかく、とくにネガティブな報告や
「こんなこと今さら聞いていいんだろうか?」と
相談に躊躇してしまう部下には、安全・安心の担保が必要で
話しやすさがカギとなります。
話しやすいかどうかというのは、
①バーバル(言語)と②ノンバーバル(言語以外)に影響を受けます。
アイスブレイクが目的なら、とくに②の見た目を意識しましょう。
具体的には表情、アイコンタクト、身だしなみ、態度、姿勢です。
眉間にしわを寄せた険しい表情していませんか?
腕組みをしたり椅子の背もたれにのけぞって座っていませんか?
オンラインの場合は相手の顔だけでなく自分の顔が映るので
ノンバーバルを意識し改善するにはちょうどいいツールです。
2)部下の様子を察知するために
職場で毎日顔合わせて仕事をしていればまだいいのですが、
テレワークだと部下の仕事の様子が分からなかったり
異変に気づきにくいものです。
1)の①に該当しますが、何を、どうやって話すかを
アイスブレイクと言えども、予め考えておきましょう。
上司はつい自分の話したい話をしがちですが、
部下に興味・関心を持って「何か変わったことがないだろうか?」と
アンテナを立てて、雑談をしながら自然に聴いてみましょう。
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